電源ケーブル以外の電源関係もチューニングしました。なお、ここで実施したことは聴感上も測定上も有意な影響はありませんでした。止め際が見つからなくてやり抜いちゃっただけです。
ノイズ源から隔離する
オーディオ機器は電源ノイズに弱いので、パソコンその他家電製品とは電源を分けた方がよいそうです。伝説に聞くオーディオ用マイ電柱ですね。ここまではやれないですが、分電盤を確認して子ブレーカーの1つをオーディオ機器専用にするぐらいは簡単です。子ブレーカー分けたぐらいで効果があるのかは疑問ですが、昔のPLCは子ブレーカーをまたぐと通信できなかったらしいので効果をあるのでしょう。ちなみにブレーカーの上段と下段は逆相になっているのでオーディオ用は一方にまとめた方がよいです。
本当は家電系とアンプ(一番電気を喰う), 機材(楽器とかエフェクター、オーディオインターフェース)それぞれで電源系統を分けるとよいですが、さすがにそこまでは出来ないので、アンプと機材はコンセントで分けるだけに済ませました。
隔離した家電製品のうち、オーディオと同時稼働するものにはさらにノイズフィルターをつけます。ノイズフィルターも色々出ていますが、オーディオには直接使わず、ノイズ源となる家電の方に付けるのが副作用もなく安パイのようです。スペースのない蛍光灯にはクランプフィルタを挟むしかないですが、その他家電にはTDKラムダのRSHNシリーズを使って自作するのが安上がりで効果的です。必要なワット数の個体を選び、ケーブルを付けたらドリルで穴を開けた 適当な箱に入れてケーブルグランドでケーブルを固定すれば簡単にできます。測定機器がないので効果が定量できないのが残念です。RMMAでオーディオインターフェースのみ測定しましたが、対策の有無で有意な違いはありませんでした。
ちなみに普通はノイズフィルター使う必要なんかないと思います。現代の環境で使用するオーディオ機器はちゃんとノイズ環境下で動くように設計されているでしょうし、家電製品も規制を満たすように、ノイズを出さない工夫をしています。電源に回す予算は格安品ほど限られていくので、フィルターもあればあるで効果はあるでしょうが、ノイズを気にするほどの人の機材ならその辺はクリアしていると思うのですが、みんなどんな環境で使っているのでしょう。
電源ノイズにこだわるオーディオ界隈ですとスイッチング電源が忌み嫌われているようですが、こちらのサイトで同じタップにスイッチング電源があるときの他のコンセント口への影響を測定しています。たこ足配線や電源ケーブル長く引き延ばして抵抗を下げるかスイッチング電源が粗悪品でない限り影響はなさそうです。
https://www.denshi.club/parts/2017/02/3sw.html
20/9/26 追記
ラインノイズメーター購入して測定したところ、そうでもなさそうです。
最後にPCとオーディオインターフェースを電気的に分離します。USBアイソレータとか色々あるようですが、接続方法を電気から光にするのが確実です。
実は光で信号を伝えるUSB/thunderboltケーブルなんてものがあるようで、Corningが作成しています。
以前、PCからのUSB電源と外部電源とでノイズ量を測定してるサイトを見かけていて、どこのページか思い出せませんが、 結果によると次の順番にノイズが減っていました。
USB電源(スイッチング式)>USB電源(トランス式)>>>外部電源 (スイッチング式) >外部電源(トランス式)
よく言われるように確かにスイッチングよりトランスの方がノイズが少ないようです。測定上ノイズが多いだけで聴感に有意な差があるかは不明ですが。
これでノイズ源との隔離で出来ることはやりました。オーディオ側にもノイズフィルターを使用するならアイソレーショントランスが一般的です。かないまるさんのサイトで詳しく紹介していますのでそちらを参照してください。スイッチング電源のオーディオ機器や、 非アンプ、非楽器系 にはよいようです。トランス電源系はトランスを二重に通すことをメーカー側が想定していない、アンプは 大食らいなので ノイズどうこうよりとにかく抵抗値を下げたい、楽器は電源込みで音作りをしているなどの理由でこれらはあまりよい結果にはならないといいます。ちゃんと自前でノイズ対策している機材ほどノイズフィルターを付けると余計なお世話になります。ノイズフィルターを二重につけるとフィルタリングされるノイズが2倍になるのではなく、フィルタリングされる周波数が下がるので、下手をすると可聴域を削ってしまうそうです。
グラウンドループを避ける
グラウンドに回路が出来るとノイズが発生するそうです。
http://www.ceres.dti.ne.jp/~warnerg/SHOBI/TOSS/09/ground.htm
バランス接続ではコールドとグラウンドを別の導線で繋げているため、グランドを切っても信号は伝わります。また、ロー出しハイ受けの原則に従い、出力側の方が抵抗が小さいのでシールドも出力の方だけグラウンドに繋げれば十分シールドとして機能するそうです。なので、バランス接続の機材同士はラインケーブルでは入力側のグラウンドを繋げず、グラウンドは電源ケーブルで繋げることにします。ノイズが発生していないなら回路になっていても問題ないのですが、後から問題になると原因箇所の特定と改造が面倒なので始めから繋げません。
追記 ケーブルにおけるシャーシグラウンドとシグナルグランドの違いについて
作ライさんより指摘があり、シャーシグラウンドとシグナルグランドを混同していたことが判明したため整理します。XLRコネクタの場合は1番ピンがシグナルグランド用、留め具のつめ部分がシャーシグラウンド用です。前者は機器間のシャーシ電位差をなくし、後者は信号の共通基準にするのに使用されます。グラウンドループ対策でラインケーブルのグラウンドを浮かす場合は暗黙的にシャーシグラウンドの方を指すし、シグナルグランドは規格的に切ってはいけないそうです。しかし自分はグラウンドループ対策にシャーシグラウンドは浮かし、シグナルグランドは ケーブルのメス のみ繋げていました。
これに気づいたのは-60dBとやたらノイズが大きい機材があり、試しにシグナルグランドを繋げると他と同等の-94dB程度にまで改善したことからです。 テスターで調べると他の機器は電源、シャーシ、シグナルグランドがそれぞれ0.数Ωでつながっていて(1000円テスターなので正確度は微妙ですが)、直結しているぽいです。 対してノイズのでた機器はそれぞれの間にかなり大きい抵抗がありました。このため、電源グラウンドのみ接続では駄目だったようです。
ノイズが出ていた機材以外もシグナルグランドを繋げると改善はしましたが1dB程度であまり変わりませんでした。アンバランス回路の場合も本来コールドとグラウンドが一緒の導線なので分離できませんが、どこか一カ所コールド(グラウンド)がつながっていれば音はでるとの報告をみつけました。 音声信号は結構アバウトに扱っても音はなるようです。
なお、シャーシグラウンドをつなげてもグラウンドループの音はでませんでした。発生するとブーンブーンと鳴るそうです。
さらに追記
その後色々な機材の説明書を読みましたが、大体どこの機材も グラウンドループが発生したら 電源のアースはけして外さず、1番ピンを切って対処するようにと書いてありました。また、ELOP+の説明書には最初の自分のように受け側の1番ピンをすべて浮かしているスタジオもあるそうです。諸説ありすぎてよく分からなくなってきましたが、もう説明書どおりに繋げられる物は全部繋げて、問題が発生したら対処すればいいんじゃないですかね。機材間の電位差が小さければループができても問題ないみたいだし、いったん発生すると結構な大きさでハムノイズがでるらしいのででたら分かるでしょう。
グラウンドを接地する
グラウンドをアースに接地します。接地した方がノイズが減る場合と、逆にアースからの逆流で増える場合があり、環境によるそうです。自分の場合は接地してもしなくても変化はありませんでしたが、説明書にはアースしなさいとあるのとノイズフィルターはアースにノイズを逃がすため、接地しないと有効に機能しないので接地しておきます。ちなみに接地すると雷の入り口が増えるので、より雷に弱くなります。気になる場合はブレーカーに避雷器を付けましょう。また、複数点で接地すると上記グラウンドループが発生するので設置箇所は一カ所にしましょう。
仮想アース
オーディオ界には仮想アースというものがあります。すごく胡散臭いですが、ギタリストの人体アースと同じ原理っぽいので効果はなくもないのでしょう。自作方法が色々載ってますし、市販品もありますが、いきなり試すのも面倒なので取りあえずアース線を自分に付けて人体アースで効果をみました。変化を確認できなかったのでこれは使ってません。
電源タップ
たこ足配線しなければ何でもいいのでなかろうか。オヤイデデンキで自作タップの作成キットを売っているので取りあえず試すと楽しいです。市販ではうっていないスイッチつきタップとか作れます。